八月の随想


お盆供養幡



お盆供養幡の飾りについて

@    如以甘露灑(にょいかんろしゃ)A 除熱得清涼(じょねっとくしょうりょう)B 如従飢国来(にょじゅうけこくらい) C 忽遇大王膳(こつぐだいおうぜん)


 幡の経文は、「法華経」の授記品第六に下記のように説かれております。授記とは、仏より成仏の記別(予言)を授かることを云います。

〜若し、仏の授記を賜れば、その時こそ快く安楽になれるでしょう。大雄猛世尊は、常に世間に安んじようと思っておられます。願わくば、私共に記を賜りますように。私共は飢えている者が教えを待って食するような、そのような状態になっています。〜

 その時に座に連なる目連・迦旃延・須菩提らは一心に合掌し、釈尊を仰ぎ見ながら声を同じくしてこのように言ったのです。「我等に哀愍を抱かれその深心をご存知ならば、仏の御声を頂きたく存じます。もし、授記を頂けたならば、甘露を以て熱を除き、清涼を得るが如く、又、飢えたる国より来たって大王の膳をいただくが如く、我等は心身共に安楽となるでありましょう。・・・

餓鬼界(がきかい)の苦しみから離れ、真の成仏を願うものです。

 五色(緑・黄・赤・白・紫)の色は、仏教では方位に配当して表しております。

 緑=東  黄=中央  赤=南  白=西  紫=北

 幡=旗とは、古来は武人が戦場において、自分の存在を目立たせるために立てるものでしたが、転じて仏・菩薩の威厳を表すものとして用いられるようになりました。

 つまり五つの色は、東西南北、中央(所在のところ)と、すべてに渡り供養することの意味です。

=願わくは此の功徳を以て普く一切に及ぼし、我等と衆生と皆共に仏道を成ぜん=

 どうぞお家の仏壇(精霊棚)の前に、お盆施餓鬼幡供養としてお飾りください。




 年中行事を務めていて、一年を迎える早さを改めて感じ入ります。ここ東北・秋田でも日中は30度を超える日も多くありますが、朝晩は涼しさより「寒い」を実感します。間もなく旧盆を迎える時期となりました。今年、境内の秋の虫たちの鳴き声は、7月23日から聞こえはじめました。

 「家」の伝承が崩壊してゆく現在ですので、改めて盂蘭盆会行事の流れをお知らせしたいと思います。
                    (久城寺 副住職 小倉 知法)



 盂蘭盆会とは、ご先祖様の霊を年一回、お家に帰って来て頂くことが重要な意味です。

 お墓にお参りをして頂き、ご先祖様をお呼びしますが、その時の僧侶の読経が私たちの世界へのチケットだとお考えください。チケット代(お布施)を僧侶に差し出し、「木羽仏」(こばぼとけ)をいただいてからご先祖と一緒に帰ります。

 木羽仏とは、ご先祖様が滞在する中でのお守りです。

 ご先祖様も霊山浄土に帰らないと行けないので、僧侶がご自宅に行き、読経し連れて帰るのが、棚経の意味です。帰りのチケット代を僧侶の読経の後にお渡しします。

 16日の夕刻に送り火を致しますが、その時にご先祖を守って頂いた木羽仏などのお飾りを流したり、お焚き上げします。

 17日はお寺で「施餓鬼法要」を厳修し、各お家のご先祖精霊の読み上げ供養をするものです。
 読み上げ供養とは、ご自宅から連れて帰ってきたご先祖様へのお土産(霊山浄土へ)とお考え下さい。

 私たちに置き換えても、故郷に帰ると安心したり、元気を貰ったり嬉しい気持ちになりますよね。日常に追われている私たちこそ、この盂蘭盆会に集まり、お互いの気持ちを確認し合うのも大事ではないでしょうか。

 ご参詣、心よりお待ちしております。



〜照りつける燦々たる夏の陽光の下 ほんのわずかな木陰にも一時の安らぎがある 渇ききった大地にもいつかは きっと雨が潤いを与えてくれる そんな自然の営みがささやかな慈悲の心の大切さを教えてくれているような 清らかな心で迎える盂蘭盆会〜
〜盂蘭盆行事の説明〜

迎え盆 811日〜13日 ◎お家の仏壇の前に精霊棚を飾り、ご先祖様の霊を迎えもてなす場を作りましょう。13日の夕刻に盆提燈を吊るし迎え火といたします。

お墓参り  木羽仏(こばぼとけ)◎お寺にお参りし(墓参)精霊棚に飾る木羽仏をいただいて下さい。

精霊棚 仏壇を清掃し、その前に精霊棚を作りお曼荼羅、マコモの筵(むしろ)を敷いてお位牌を安置し果物、菓子、茶湯、霊膳、その他の供物を供えます。胡瓜の馬、茄子の牛を置くのは迎えの為の馬、送りの為の牛をあらわします。茄子を賽の目に刻んで、蓮の葉の器に盛るのは、「水の子」と言って餓鬼に対する施食の意味です。水を入れた器にミソハギの枝を添えておくのは、灑水(しゃすい)〜清らかな水〜供養の為です。

お棚経 8月14日〜16日◎菩提寺からお家の仏壇(精霊棚)へお経を頂く事。

送り盆 8月16 ◎精霊棚にお飾りしたお供物等をさげ、町内指定の場所へ 持参し「お流し」いたします。夕刻、お庭で「木羽仏」をお焚き上げして送り火とし、お盆中お家へお迎えしたご先祖の精霊を霊山浄土へお帰りいただきます。

お寺での法要 8月17◎午前11時より久城寺本堂において、お盆総供養とし、施餓鬼水向供養 午前11お施餓鬼、水向供養(ご施主読み上げ供養)致しますのでので、是非ご参詣下さい。    
盂蘭盆会(うらぼんえ)お施餓鬼(せがき)〜

※ 盂蘭盆会とは、釈尊の弟子の一人、目連尊者が餓鬼道に落ち、苦しんでいた亡き母を「お前の母は、自分の息子を可愛がる余り、人に施すことをせず、その為に餓鬼道に落ちたのだ!」と諭され、目連は諸仏衆に供養し、母を餓鬼道から救うことが出来たと言う故事に由来します。また、施餓鬼会とは、やはり釈尊の弟子、阿難尊者が釈尊の言葉どおり、恵まれない餓鬼に飲食を供養し、その功徳で自ら餓鬼に生れ変わるところを救われたと言う伝えに由来します。

〜木羽仏〜
 木羽仏には、(南無妙法蓮華経 此食色香味 上献十方仏 中奉諸賢聖 下及六道品)と、法華礼誦要文集からの経文を戴いたもので、『いま、私たちが頂く食事に際し、先ずは仏恩に報謝し、仏及び諸の賢聖に供養し、更には地獄・餓鬼・畜生等の幽鬼界に施して、後に食事をいただく』と、つまり、食事一つにとっても、全てへのホドコシを徳目とすることを教わるものです。

今月はお盆特集です。 住職   合掌