九月の随想


境内の彼岸花




 この世において、どんな人にもなしとげられないことが五つある。 一つには、老いゆく身でありながら、老いないということ。二つには、病む身でありながら、病まないということ。三つには、死すべき身でありながら、死なないということ。四つには、滅ぶべきものでありながら、滅びないということ。五つには、尽きるべきものでありながら、尽きないということである。

 世の常の人びとは、この避けがたいことにつき当たり、いたずらに苦しみ悩むのであるが、仏の教えを受けた人は、避けがたいことを避け難いと知るから、このような愚かな悩みを抱くことはない。

 また、この世に四つの真実がある。第一に、すべて生きとし生けるものはみな無明から生まれること。第二に、すべて欲望の対象となるものは、無常であり、苦しみであり、うつり変わるものであること。第三に、すべて存在するものは、無常であり、苦しみであり、移り変わるものであること。第四に、我も、わがものもないということである。

 すべてのものは、みな無常であって、うつり変わるものであること、どのようなものにも、我がないということは、仏がこの世に出現するとしないとにかかわらず、いつも定まっているまことの道理である。仏はこれを知り、このことをさとって、人びとを教え導く。

仏教聖典〈人の心とありのままの姿・変わりゆくものには実体がない〉より




月の初めには、新たな絵を更新してまいります。 住職   合掌