今月の俳句
故 土屋 博
●平成21年〜26年 過去6ヶ年の掲載句〜
 上記 クリックすると過去6年間の作品を読むことが出来ます。


 この企画をはじめてから、6年の歳月を経ました。毎回、月半ば頃土屋様からメールで俳句とその句ができたコメントをいただき、このページが誕生しております。年々円熟味ある句をお寄せ頂く当寺・世話人、東京都在住・土屋博様の作品をご紹介しておりました。
 昨秋より体調を崩され、治療に専念、少しお休みしたい、とのお手紙をいただきましたが、平成27年4月21日、享年80歳をもって他界されました。在りし日のお姿を偲び心よりご冥福をお祈り致します。

 どうぞ皆様、氏が晩年の6ヵ年、72句を詠われた四季折々の俳句をご鑑賞下さい。

      〜 土屋氏は俳誌「野の会」同人・現代俳句協会会員でした〜







暮れなずむ岩原スキー場

平成26年〈12月〉

ゲレンデに興奮残し駒子の湯
俳句のコメント

 「ゲレンデに興奮残し駒子の湯」

 スキーは、小学校の頃(古里・秋田市)は近くの城趾跡の千秋公園でゴム長靴のスキーを楽しんだ。中学からはスキーをする機会がなく育ち、会社に就職してからようやく待望のスキーを再開、冬の楽しみは専らスキーとなった。

 若い頃は、蔵王、志賀高原、八甲田山等で遠征スキーを楽しんだが、歳を取ってからは何と言っても東京から一時間で行ける越後湯沢が手軽なスキー場となった。『国境の長いトンネルを抜けると雪国であった・・・』で有名な川端康成の小雪「雪国」の舞台となったいわゆる越後湯沢である。

 ゲレンデのすぐ下に温泉宿がある岩原スキー場にいつも泊まっていたが、ある年その宿が満員のため温泉のない宿に泊まった。一晩だけ宿のマスターが湯沢町にある温泉場を車で案内してくれると言うので、温泉街と温泉宿のいくつかある銭湯から、小雪「雪国」を思い出し「駒子の湯」を選んだ。

 小説の土地の芸者・駒子と島村の物語りを思い出しながら、昼のスキーの興奮そのままに程よい湯加減の温泉に浸っていたことを思い出してこの句を詠んだ。





平成21年2月22日〜24日 岩原スキー場にて  筆者(土屋 博)




〜平成21年1月〜26年12月〜6年間、「今月俳句」 



久城寺トップページ